『すずめの戸締まり』に隠された秘密|神話や歴史、日本の風習との深い意味を考察

思ったこと、日常

皆さん、『すずめの戸締り』という映画はご存知ですか?

『すずめの戸締まり』は、新海誠監督による2022年公開のアニメ映画で、扉の閉じ師である「草太」と心に傷のある少女「鈴芽」が出会い、日本中の災いの元となる扉を閉めていくというストーリーです。

以前、知人がおススメしていたこともあり、Amazonプライムで放映されていたのを見つけ、鑑賞することに…。

映画を鑑賞した後、ストーリーのメッセージ性をとても強く感じ、心がえぐられました。日本の歴史や風習と照らし合わせて考えてしまい、なんとも言えない切なさを感じたのです・・・。

今回このブログでは「すずめの戸締り」を通して新津誠さんが伝えたかったことを私なりに考察してみました。

ぜひ最後までお読みください。

「すずめの戸締り」登場人物の名前と歴史上の人物

「すずめの戸締まり」は登場人物の名前が特徴的でどこか日本の神話や歴史との関係を匂わせています。

主人公の少女の名前は「岩戸鈴芽」。
女の子が出会った閉じ師でもある少年の名前は「宗像草太」。
ミミズ(日本列島の下をうごめき、日本に地震を起すとされている存在)を抑える要石とされていた「ダイジン(子供の猫?)」と「サダイジン(大人の猫?)」。

名前を見てピンときてしまいました。
これってひな祭りの時に飾られるひな人形と繋がりがあるんじゃないの?」と。

そこでひな壇に飾られている人形に関する意味を調べてみたんです。

すると・・・。

ひな壇で一番上に飾られている「お内裏様」と「お雛様」、それぞれ「天皇」と「皇后」を象徴としています。

私の中に主人公「岩戸鈴芽」=「お雛様」=「皇后」=「女神」「宗像草太」=「お内裏様」=「天皇」=「男神」という仮定ができあがりました。

そして、「ダイジン」と「サダイジン」は「右大臣」と「左大臣」と言えるのではないかとピンときたのです。

そこで更に調べてみると・・・。

映画の中で「ダイジン(右大臣?)」は宮崎(地図を見る人から向かって左側)の要石として、「サダイジン(左大臣?)」は東京の要石(地図を見る人から向かって右側)として埋められています。ひな人形の「右大臣」も天皇からみて右側(飾る人からみて左側)、「左大臣」も天皇からみて左側(飾る人からみて右側)に飾られていることがわかりました。

また、ひな人形を見てもわかるように「右大臣」は「左大臣」に比べ比較的若い見た目をしています。
「すずめの戸締り」の「ダイジン」と「サダイジン」も子猫と大人の猫でしたよね?

やっぱりここでも繋がります。

「ダイジン」=「右大臣」

「サダイジン」=「左大臣」

なのではないでしょうか?

ちなみに右大臣と左大臣は天皇や皇后の側近として結婚時に警護したり、時には政治的なリーダーとしての役割をはたしていたのだとか。現代で言うところの内閣総理大臣とか、内閣総理大臣補佐官といったところでしょうか。

「すずめの戸締り」の「鈴芽」と「草太」は何の神?

今までの考察を踏まえ、主人公の「岩戸鈴芽」と「宗像草太」の考察に戻りたいと思います。

そもそも新海誠監督自身が、「アメノウズメノミコトから名前のインスピレーションを得ている。」と言っていたように、「岩戸鈴芽」はアメノウズメノミコトを彷彿させます。

アメノウズメノミコトは、天照大御神が岩戸に隠れてしまった際に踊りで天照大御神を岩戸から誘い出したと言われる女神です。名字に「岩戸」とついている所も繋がりますよね。

そんなアメノウズメノミコトの夫は猿田彦命とされています。
ということは「宗像草太」は猿田彦命ということなのでしょうか?

猿田彦大神は、日本神話において天孫降臨の際に瓊々杵尊を導いた神で、「古代史の復元」によるとニギハヤヒの子供とされています。猿田彦=ニギハヤヒという説もありますが、いずれにせよ須佐之男命の子孫のようです。(須佐之男命には天照大御神以外の女神との間にも子供あり。)

そうすると、「宗像」という名前はどこから来たのでしょうか?
疑問が残ります。

だんだん複雑になってきたので、「神話と神様と神社のことあなにやし」の「神様の家系図」を参考にさせていただきましょう。

出典:「神話と神様と神社のことあなにやし」の「神様の家系図」

この図を眺めていると、天照大御神と須佐之男命の孫にあたる宗像三女神という存在が浮かび上がります。

なんだか「宗像草太」の宗像という名字と繋がりませんか?

宗像三女神は、宗像大社(福岡県宗像市)に祀られている田心姫神、湍津姫神、市杵島姫神の三柱の女神のことです。

更に調べてみると、「宗像で猿田彦と市杵島姫は出会い、二人は結婚した。」古代史の復元というサイトで書かれていました。

んんん!?

アメノウズメノミコトはどこへ行ったのでしょうか?

猿田彦は宗像氏に婿養子に行ったのでしょうか?

三角関係、不倫関係ということ?

市杵島姫=アメノウズメノミコト?

と、このあたりは謎が深まるばかりなのですが、いずれにせよ「岩戸鈴芽」と「宗像草太」は女神と男神を表しているのではないかと思います。

「すずめの戸締り」の「ミミズ」の正体は?

要石について調べていた所、古代から地震の原因は地底にいる「なまず」にあり、要石でなまずの動きを抑えるという信仰があったことがわかりました。

「なまず」と「ミミズ」響きが似ていますよね。

おそらく古代からの伝承に出てくる「なまず」を「ミミズ」と言い換えたのでしょう。

ちなみに、鹿島神宮の要石は巨大「なまず」の頭を、香取神宮の要石は巨大「なまず」のしっぽを抑えていると言われています。そして、鹿島神宮の要石は、宮崎の高千穂神社から来ているそうです。(参考:MARBLE B&B「巨大なまずを抑えている要石」

ここもなんとなく「すずめの戸締り」のストーリーと繋がりますよね。
元々宮崎にいた「ダイジン」は最後に関東で要石に戻ると。

それらのことを念頭に置きながら物語を見てみると・・・。

なんとも言えない切なさがこみあげてくるのです。

まとめ

要石とはおそらく人柱のことなのでしょう。
男女の神々、そして人々を守るために要石となった「ダイジン」と「サダイジン」。

閉じ師としての「宗像草太」の言葉「人の心の重さが、その土地を鎮めているんだ。 それが消えて後ろ戸が開いてしまった場所が、きっとまだあるはず。」にも意味を感じずにはいれません。

私が考察するに、ミミズは人の恐怖や無念さなどの重い念からエネルギーを得ている存在で、それらの重い念が消える頃にまた重い念を求めて巨大地震を起そうとする。人々を守るために「ダイジン」と「サダイジン」は自身が要石(人柱)となりミミズに現世への執着や要石となった苦しさ、悲しみなどの重い念を与えることで地震を鎮めていた。

年月が経ち、「ダイジン」と「サダイジン」の重い念が昇華されつつあり、それに伴い、ミミズの出てくる扉が各地で開き始めている。

地震を起こす扉を閉じる役目を負っているのが閉じ師でもある「宗像草太」であり、パートナーとして「岩戸鈴芽」がいる。二人は悠久の時を経て現代において出会い、人々を守るために人知れず使命を全うしている。

と。

ほぼ妄想ですが、ロマンチックとも言い難い、とても切なくも希望に満ちたストーリーだと思いました。

映画の中の時代は現代ですが、どうしても日本の歴史的背景を思いおこしてしまうような深い映画で、見終わった後には号泣せずにはいられませんでした。😢😭

実は新海誠監督の意図はまったく違ったということもあるかもしれませんが、感じ方は人それぞれ。

皆様もこの作品を見られた方は、歴史と照らし合わせていろいろと考察してみてはいかがでしょうか?

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